今回テストは自動車雑誌「OPTION」誌との合同企画でMCRの協力を得て実現。その舞台となったのは福島県二本松市にあるエビスサーキット東コース(全長2,061m)、最大標高差67mという高低差を誇るアップダウンに富んだマウンテンコースだ。
使用するマシンはMCRのデモカー、FAIRLADY Z(Z33HR)【右記:写真1】。ボディ補強や軽量化はせず、エンジンもノーマル。マフラー&ROMチューンに加え、足回りをセットアップし、装着タイヤにはADVAN
A-048を使用。
と、みんなが、普段乗っているチューニングカーに非常に近い車輌だ。
そして、ドライバーは数々のタイムアタックや最近はZレースでの活躍でチューナーとしてもドライバーとしても、実力と人気を兼ね備える存在となったMCRの小林社長。
各パーツメーカー等からも開発テストなどを依頼される事も多く、そのテクニックとフィードバック能力の高さには定評がある。
テスト用のホイールには、高剛性を誇り今一番人気のGTC01(18×10J/OFFSET22/H-P.C.D.5-114.3)の市販品(重量10.8kg)【右記:写真2】と、市販品から各部を薄肉化し意図的に剛性を落とした低剛性タイプ(重量9.0kg)【右記:写真3】を使用し、前回のテストではフロントのみ交換だったのに対し、今回は4輪全てにそれぞれのタイプのホイールを装着しタイム計測と走行後のタイヤの温度分布測定、そしてフィーリングチェックを行なった。また今回は合わせてGTC01の特徴であるホイールとタイヤの空回りを低減させる「アンチスリップペイント」の効果確認も実施。
まずはラジアルタイヤのセットで、セッティングの確認を行った後、高剛性タイプから、いよいよテスト開始!注目のタイムは?そしてフィーリングは??
なんとベストタイム比較で、1周あたり高剛性タイプが低剛性タイプに比べや約0.4秒速いという結果に!【右記:表1】
そして、タイヤの温度分布。これは剛性によりホイールが「たわんでいないか=均等にタイヤが接地しているか=均等にタイヤが温まっているか?」と言う目安。【右記:表2】
低剛性タイプの方が相対的に温度のバラツキが大きいという結果になり、ホイールのたわみが大きい事によりタイヤが理想的に接地していない事が分かる。【右記:表3】
そして大注目の、フィーリングでは・・・
高剛性タイプでの走行後は、普段も使用している市販品という事で特になし。
低剛性タイプに履き替えピットアウトした瞬間は、軽重量のおかげか、転がり出しが軽く、低速域でのハンドリングはシャープになった感覚が有り、
『もしかすると剛性落ちても、軽くなった分のメリットが大きいかも』
と感じたそうだが、いざアタックを開始すると・・・
『低剛性タイプだと高剛性タイプでは無かった、高速コーナーでの立ち上がりでオーバーステアが顕著に表れるのと、コーナー間のGが掛かりながらラインを変える様なセクションで非常にクルマがナーバスな動きになり、安心してアクセルを踏めない!』
とのコメント。
『(ホイールを)替えたと言われなければ、足回りのセッティングが合っていないと感じるようなフィーリング。』と言うことだ。
この様にタイム的にもフィーリング的にも、高剛性タイプに軍配が上がった今回のテスト。
更に「アンチスリップペイント」の効果でもご覧の通り、効果がバッチリ出ていることが確認出来た。【右記:写真4】
使用したコースが違うとは言え、前回のテストではタイム差が約0.2秒、そして今回のテストでは約0.4秒、またフィーリングの違いも表れ、ホイールにおける剛性の重要度が証明出来たのではないかと思う。
そして今回新たな試みとして行った、走行後のタイヤ温度分布測定により、「何故剛性の違いがタイムに影響するのか?」と言う仕組みも理解できた。
アルミホイールは、しっかりした剛性を確保した上で、出来る限りの軽量化を行う・・・つまり剛性と重量のバランスが大事であり、そんな観点からホイールを見直してみると、また新しい世界が見えてくるかもしれない。
このテストの模様は自動車雑誌「OPTION 7月号」(5/26発売)に詳しく掲載されているぞ!
気になるあなたは、是非雑誌の方もチェックして貰いたい!!
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