「フォーミュラ」という言葉は、モータースポーツ好き、クルマ好きにとっては当然のごとく知っている言葉であると思う。さらにはFormula1、いわゆるF1が1987年に鈴鹿で継続的に開催されて既に20年も経過しているから、この日本でもスポーツに属するものとして一般的にもなっていることは間違いない。
しかしながら、フォーミュラの前に「全日本学生」と付くと、「学生のフォーミュラカーレースか?」と想像は出来ても、内容までご存知ある方は殆んど居ないのではないだろうか。
そういっている当の本人も最近知ったばかりで、開催を案内するチラシだけしか情報が無かった時は、写真だけを見て「これで早く走れるの?、ただのお遊び?」とした不謹慎な印象を持ってしまった。
しかしながらである。去る9月12日〜15日迄、静岡県にある小笠総合運動場(通称エコパ:サッカーのワールドカップの1会場、J1静岡ダービーの開催地等)の駐車場を利用して行われた大会をのぞいてみると、なんのその。
(1)安全性、コストも踏まえた車両製作のルール、(2)多岐に渡る審査項目、等々
きめ細かく取り決めがされている上、そこに集まっている大学生のフォーミュラ(クルマ)創りに対する姿勢は真摯そのもので、各チームのパドックには自分たちがゼロから創った車両の思想、図面、その他詳細データを掲示し、訪れるモノに強くアピールしていた。
今回の開催で5回目と歴史は浅く、2003年に17チームの参加でスタートが切られ、2004年34チーム、2005年45チーム、2006年51チーム、そして2007年は何と62チーム、うち海外からも4チーム参加、と年々参加チームが増えているという。
また、米国では1981年から開催されており、教室の中だけでは優秀なエンジニアは育たないという問題点を克服する為の施策であったという。その日本版が、この大会である。
コンピューターソフトがどんどんと発展し、沢山の事がバーチャルでシュミレーション或いは体験できたりするが、実際には現場で、現物で、現実を、とした“もの創り”には基本があり、フォーミュラ型というもっともベーシックなクルマ創りを通して、“ゼロからものづくり”に没頭している学生達をみて、クルマ関連産業に身をおく者として感動を覚えたし、この活動は沢山の協賛企業を募り、「官」が主体となってサポートされているものであるが、どんどん拡がって欲しいものである。
T.T
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